外出先のiPhoneで自宅PCのSteamを遊ぶ|Apollo+VoidLink+Tailscaleの設定とハマった罠

自宅のゲーミングPCに入っている Steam のゲームを、iPhone 18 Pro で遊んでいます。家では Wi-Fi で、外では povo の 5G で、同じ設定のままつながります。

最初は Steam Link を使っていましたが、画面ががびがびで遅延があったので、Apollo と VoidLink の組み合わせに乗り換えました。家の Wi-Fi では遅延をほぼ感じず、外の 5G ではたまに感じる、というのが今の使い心地です。

この記事では、導入の手順と、実際にハマった罠、外で遊んだときの通信量をまとめます。

目次

結論:Apollo+VoidLink+Tailscaleなら、ポート開放なしで外からつながる

一軒家の断面図のイラスト。家の中ではソファの iPhone から Wi-Fi ルーターを通って2階の自宅PCへ、外では公園の iPhone から基地局(5G)とインターネットを通り、鍵のマークの付いた経路で家のルーターから自宅PCへつながっている
役割使うものやること
自宅PCApollo(無料)ゲーム画面を映像にして iPhone に送る
iPhoneVoidLink – Extreme(¥260)届いた映像を映し、コントローラーの操作を PC に返す
外からの接続Tailscale(個人利用は無料)外出先の iPhone と自宅の PC を、同じネットワークにいるようにつなぐ
  • ルーターのポートを開けなくてよい
  • 家でも外でも、iPhone 側の接続先は同じでよい
  • PC は電源を入れたままにしておく必要がある
  • 外ではモバイル通信のギガを使う。私の実測で1時間あたり約2.9GB

なぜ Steam Link でも本家 Moonlight でもないのか

Apollo:iPhone の画面にぴったり合わせて送る

Steam Link は手軽ですが、私の環境では画面ががびがびで遅延がありました。原因として考えられるのは、私の PC のモニターが横に長いウルトラワイド(3440×1440)だったことです。Steam Link は PC のモニターの画面を送る仕組みなので、形の違う iPhone では縮小され、黒帯も出ます。

Apollo は、定番の配信ソフト Sunshine の派生版です。つないだ iPhone と同じ解像度の画面をPC の中に作り、そこに映したゲームをそのまま送ります。iPhone 18 Pro なら 2622×1206 です。縮小がないので、iPhone の画面いっぱいにくっきり映ります。ビットレートやコーデックも iPhone 側で選べるので、回線に合わせて画質と通信量を調整できます。

机の上の 3440×1440 の PC のモニターの上に、点線で描いた 2622×1206 の仮想ディスプレイがあり、王冠と「メイン」の印が付いている。仮想ディスプレイのゲーム画面が、点線の矢印でソファの人が持つ iPhone に届いている

VoidLink:iPhone のゲームモードが効く

iPhone 側は、無料の Moonlight ではなく VoidLink – Extreme(¥260)にしました。iPhone のゲームモードが効くことが分かったからです。スペックを押し上げて、パフォーマンスに寄与することを期待しました。VoidLink は Moonlight をもとに作られたアプリで、Apollo とそのままつながります。

💡 豆知識:iPhone のゲームモードで何が変わる?

iOS 18 から入った機能で、Apple のサポート記事によると、変わるのは次の2つです。

  • CPU と GPU をゲームに優先して回す:裏の処理を抑えて、動きを安定させる
  • Bluetooth の反応を速くする:ワイヤレスのコントローラーや AirPods の遅れを減らす

ゲームと判定されたアプリを全画面で開くと自動でオンになり、遊んでいる最中にコントロールセンターの「Game Overlay」で状態を確かめられます。リモートプレイでは重い処理は PC がやっているので、はっきり効くのは Bluetooth の方です。ワイヤレスのコントローラーや AirPods を使う人ほど恩恵があります。

導入手順

私の環境は次のとおりです。バージョンは 2026年10月9日時点です。

項目内容
PCWindows 11 Pro/Ryzen 7 9700X/GeForce RTX 4070 SUPER/有線 LAN
配信ソフトApollo 0.4.6
iPhoneiPhone 18 Pro(VoidLink – Extreme、Tailscale)
コントローラーGameSir X5 Lite
外の回線povo(5G)

1. PC に Apollo を入れる

  1. Apollo の配布ページから Windows 用のインストーラーを入れる
  2. PC のブラウザで管理画面(https://localhost:47990)を開き、ユーザー名とパスワードを決める
  3. NVIDIA の GPU なら、設定でエンコーダーを NVENC にする

ほかの仮想ディスプレイ用のソフトや古い Sunshine が入っていたら、先に消しておきます。Apollo の公式も削除を強く勧めています。

2. PC と iPhone に Tailscale を入れる

  1. PC と iPhone に Tailscale を入れ、同じアカウントでログインする。iPhone は VPN をオンにする
  2. Tailscale の管理画面で、PC の「キーの有効期限」を無効にする。期限が切れると、外から急につながらなくなる
  3. PC の Tailscale で「無人実行(Run unattended)」をオンにする。PC を再起動してサインインしていない状態でも動き続ける

Tailscale にログインするアカウントは、2段階認証をオンにしておきます。自宅 PC への入口の鍵になるからです。

3. VoidLink で PC を登録してペアリングする

  1. VoidLink の接続先に、PC の Tailscale のアドレスを登録する。100. で始まる番号です
  2. VoidLink に出た PIN を、Apollo の管理画面の「PIN」に入れてペアリングする
  3. Apollo の管理画面で、その端末にアプリの起動と入力の権限を付ける
VoidLink で自宅PCに接続した画面。Desktop・Steam・Virtual Display の3つのアプリが並んでいる

接続先は Tailscale のアドレスだけで足ります。家の Wi-Fi にいるときは、同じアドレスのままでも家の中で直接つながります。

4. Steam Big Picture を iPhone に出す

  1. Apollo の設定で、ディスプレイの構成を ensure_primary にする。配信中は仮想ディスプレイが Windows のメインになる
  2. Steam の Big Picture の設定で、「優先するディスプレイ」を「なし」にする
  3. VoidLink から「Steam Big Picture」を起動する

私がハマった罠と直し方

手順の 3 と 4 は、どれも私が一度ハマってから入れたものです。症状から引けるようにまとめます。

症状原因直し方
アプリを起動すると「Permission denied」Apollo でフル権限が付くのは、最初にペアリングした端末だけ管理画面で、その端末にアプリの起動と入力の権限を付ける
ゲームが iPhone ではなく PC のモニターに出る仮想ディスプレイが Windows のメインになっていないApollo の設定を ensure_primary にする
それでも Big Picture だけ PC のモニターに出るSteam の「優先するディスプレイ」が PC のモニターに固定されている「優先するディスプレイ」を「なし」にする
特定のゲームだけ PC のモニターに出るゲームが表示先の画面番号を自分で覚えているゲームの設定ファイルの画面番号を書き換える

最後の症状は Slay the Spire 2 で起きました。設定ファイル settings.save の target_display が画面番号で、しかも PC の前で起動すると元に戻ります。外出先では PC の画面で直せないので、起動のたびにこの番号を書き換えるスクリプトを Steam の起動オプションに登録して解決しました。ほかのゲームでも同じ症状なら、設定ファイルに画面番号が無いか探すのが近道です。

私の設定と、外で遊んだ実測

VoidLink の設定画面。解像度 2622×1206、60 FPS、ビットレート 10.0 Mbps、コーデック AV1 を選んでいる
項目設定
解像度2622×1206(iPhone 18 Pro の全画面)
フレームレート60fps
ビットレート10 Mbps
コーデックAV1

設定した直後は 120fps・30 Mbps でしたが、今は 60fps・10 Mbps に下げています。そんなに反応速度がいらないゲームをやっているせいか遅延を感じないのと、モバイル通信になったときのギガ消費量を減らすためです。

💡 豆知識:コーデック(H.264/HEVC/AV1)って何?

ゲームの画面は、PC で圧縮して送り、iPhone で元に戻して映しています。この圧縮の方式がコーデックで、VoidLink では3つから選べます。

コーデック特徴使える条件
H.264いちばん古い。同じ画質ならデータ量がいちばん多いほとんどの PC と iPhone
HEVCH.264 の後継。データ量はその次に少ないほとんどの PC と iPhone
AV1いちばん新しい。同じ画質ならデータ量がいちばん少ないPC は NVIDIA なら RTX 40 シリーズ以降、iPhone は 15 Pro 以降

外ではギガを節約するためにビットレートを絞るので、同じデータ量でも画質が落ちにくい AV1 が有利です。条件を満たさないなら HEVC を選びます。

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povo 5G で 43 分遊んだ記録

コントローラーに挟んだ iPhone 18 Pro に Slay the Spire 2 のキャラクター選択画面が映っている
項目実測
日時とゲーム2026年10月9日 18:14〜18:57、Slay the Spire 2
回線povo の 5G
VoidLink の通信量約2.09GB(1時間あたり約2.9GB)
iPhone の電池73% → 69%
iPhone のモバイル通信の設定画面を遊ぶ前と後で並べたもの。18:14 は VoidLink - Extreme が 39.8 MB・電池 73%、18:57 は 2.13 GB・電池 69%

通信量は、10 Mbps の上限いっぱいなら1時間に 4.5GB の計算ですが、実際はその6割ほどでした。電池も43分で4%しか減っていません。

一方で、遅延はたまに感じた。もたつくときはあった。別の日に povo の 5G で測った通信の往復時間は、5回中4回が 23〜27ms、1回だけ 93ms でした。60fps の1コマは約16.7ms なので、普段は1〜2コマぶん、跳ねたときは5コマぶん以上の遅れです。ターン制の Slay the Spire 2 なら遊べますが、入力がシビアなアクションゲームだと気になるかもしれません。

まとめ

Steam Link の画質や遅延に不満があるなら、Apollo+VoidLink に替える価値があります。外から遊ぶなら Tailscale を足すだけで、ポートを開けずに同じ設定のままつながります。外では 10 Mbps で1時間あたり約2.9GB。遅延はたまに出ますが、ターン制のゲームなら外でも遊べます。

ルーターのポート開放は必要?

Tailscale を使えば不要です。

外で1時間遊ぶと何GB使う?

私が povo の 5G・10 Mbps で遊んだときは、1時間あたり約2.9GB でした。

アクションゲームでも遊べる?

入力がシビアなゲームは試していません。家ではほぼ遅延を感じませんが、外の 5G ではたまに感じました。

PC がスリープしていたらつながる?

つながりません。私はスリープを切って、常時起動にしています。

🐾 今日の花 🐾

hana709···
フェンスの下の塀に前足をかけて、こちらを見上げている黒いフレンチブルドッグの花

hana709習い事に行った娘をずっと覗いている花。

2026年10月10日

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